世界的な金利引き下げでリスク選好が高まり、金価格は下落
金相場は火曜日のアジア取引で下落し、前セッションからの短い回復を止めた。中国と オーストラリアの利下げを受けてリスク選好の動きが再燃し、世界の株式市場が上昇したことが下落の主因となった。
しかし、中国が米国のチップ技術輸出規制が最近の日米貿易休戦を損なっていると警告したため、市場の楽観論は穏やかな逆風に直面した。投資家はまた、ムーディーズによる最近の米国ソブリン格付け引き下げによる影響も咀嚼していた。
先週の記録的な高値からの金の反落は、米中間の相互関税削減の一時的な合意に端を発していた。中国が米国の技術輸出規制は先週の合意の精神に反すると主張しているため、その楽観論は今や雲散霧消している。
一方、日本は米国とのハイレベル貿易協議の準備を進めているが、東京はトランプ大統領が日本製品に対する関税をすべて撤廃しなければならないという姿勢を崩していない。
減税と米国の信用不安が焦点に
米下院が大幅減税法案の採決を控えているため、市場は注視している。批評家たちは、この法案が財政赤字を悪化させる可能性があり、特に最近の格下げを考慮すると、米国経済全体にリスクをもたらすと警告している。
この格下げがウォール街のセンチメントに与える影響は今のところ軽微で、投資家は前向きな貿易動向に注目しているようだ。それでも、金融の安定に対する広範な影響が懸念材料であることに変わりはない。
豪ドル、利下げで下落
オーストラリア準備銀行が、世界的な不確実性と国内の見通しの甘さを理由に、主要金利を25ベーシスポイント引き下げ3.85%としたため、豪ドルは対米ドルで下落した。
今回の利下げは、中央銀行による今年2回目の利下げとなる。RBAはその政策声明で、インフレ率は緩和しており、目標範囲である2〜3%の範囲内に収まる見込みであるとしながらも、貿易摩擦や世界経済の減速を含む対外的な不確実性が成長の重荷となる可能性があると警告した。
イラン合意への疑念と地政学的リスクを背景に原油価格が変動
火曜日のアジア時間中、原油は狭いレンジ内で取引された。米国とイランの核合意交渉が難航し、差し迫った供給急増への懸念が後退する中、市場のボラティリティは上昇した。しかし、ロシアとウクライナの 停戦交渉の可能性がセンチメントを下押しした。
現在進行中の行き詰まりは、エネルギー市場の不安定な値動きの一因となっている。合意に成功すれば、制裁が緩和され、イランの原油輸出が増加し、世界のエネルギー供給力に影響を与える可能性がある。
貿易懸念再燃で米株価先物は下落
中国が、米国のチップ輸出規制はワシントンとの最近の貿易休戦協定を損なう可能性があると発言したため、米国株式先物はアジア取引で序盤に上昇した後、下落した。
投資家はまた、ムーディーズの格下げを引き続き処理し、トランプ大統領が支持する税制改革法案の採決を見据えた。ウォール街は小幅なプラスで引けたものの、アメリカの財政健全性に対する懸念は水面下で続いている。